近年、新NISAが注目を浴びています。
将来の資産形成を考え、新NISAを始めようか迷っている方も多いのではないでしょうか?
とくに投資経験が豊富でない方にとっては、何から始めればよいのか分からない方も少なくないでしょう。
こんな方におすすめ
- 新NISAについて詳しく知りたい
- 興味があるが、何から始めて良いかわからない
- 新NISAを始めることで、どのようなメリット・デメリットがあるか知りたい
このような疑問を解決します。
この記事では、投資初心者に向けて、新NISAの概要や旧制度との変更点、及び始め方や注意点について解説します。
専門用語も分かりやすく解説しているので、これからNISAを始めてみたいという方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読めば、新NISAについての理解が深められ、資産形成を始める第一歩を踏み出すヒントを得られるでしょう!
そもそもNISAとは?

そもそもNISAとは、どのような制度なのでしょうか?
以下に、NISAの概要について説明します。
NISAとはどんな制度?
NISAとは、「Nippon Individual Saving Account」の略で、日本語に訳すと「小額投資非課税制度」と呼ばれます。
この制度を利用すると、株式投資で得た利益に税金がかからず、非課税で受け取れるのが特徴です。
通常、株で得た利益には20.315%の税金がかかるため、手元に残るお金は利益よりも少なくなります。
例えば、株で100万円の利益が出た場合を見てみましょう。
項目 | 課税口座 | NISA口座 |
---|---|---|
利益 | 100万円 | 100万円 |
税率 | 20.315% | 非課税 |
税額 | 20万3150円 | 0円 |
手元に残る利益 | 79万6850円 | 100万円 |
このように、同じ100万円の利益でも、NISA口座を活用すれば約20万円も多く残せるのが大きなメリットです。
NISAは3つの制度がある
NISAには、「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」という3つの非課税制度があります。
以下にそれぞれの制度の概要を示しています。
- 一般NISA:2014年から始まった制度で上場株式や投資信託に投資できる
- つみたてNISA:2018年からスタートした長期投資向けの制度
- ジュニアNISA:未成年のお子様(0~19歳)の将来に向けた資産形成のための制度
それぞれの制度の非課税期間や投資可能商品などを以下にまとめました。
NISAの種類 | 非課税投資枠 | 非課税期間 | 投資可能商品 | 対象年齢 | 運用期間 |
---|---|---|---|---|---|
一般NISA | 年間120万円 | 最長5年間 | 株式、投資信託、ETF、REIT | 20歳以上 | 2027年まで |
つみたてNISA | 年間40万円 | 最長20年間 | 条件を満たした投資信託 | 20歳以上 | 2024年まで |
ジュニアNISA | 年間80万円 | 最長5年間 | 株式、投資信託、ETF、REIT | 0~17際 | 2023年まで |
このように、それぞれの制度によって年間の投資額や非課税期間が異なります。
また、NISAには制度上のルールが設けられていました。
- 「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらか一方を選ぶ必要がある
- 両者の併用はできない
さらに、ジュニアNISAは2023年末で制度終了となっているため、新規口座開設ができません。
これは、想定よりも利用者数が少なかったことが主な理由です。
また、2024年以降に払い出す際、ジュニアNISA自体を解約する必要があります。
NISAの投資可能商品
NISAで投資できる商品は、「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」でそれぞれ異なります。
「つみたてNISA」では、金融庁が指定した投資信託のみです。
投資信託(ファンド)とは、運用の専門家が投資家から集めたお金を、株式などに投資する金融商品のことを指します。
つまり、運用のプロにさまざまな金融商品に投資してもらうシステムです。
スーパーの買い物に例えてみると
- 金融商品:総菜売り場のからあげやサラダ
- 投資信託:お弁当(いろいろな商品がセットになっている)
このように、お弁当はスーパーの店員さん(運用のプロ)がいくつかの商品を詰め合わせたものとイメージすると分かりやすいでしょう。
投資信託も同じように、複数の金融商品を組み合わせて運用する仕組みになっています。
一方で、「一般NISA」「ジュニアNISA」では、ETF、REITも対象商品です。
それぞれの特徴を以下にまとめました。
ETF | REIT |
---|---|
Exchange Trade Fundの略 で、日本語では「上場投資信託」と呼ぶ 株式のように証券取引所で売買できる、上場している投資信託 新しい金融商品で、世界中の投資家から注目されている | Real Estate Investment Trustの略 不動産を証券化して証券市場で売買する方法 複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する仕組み |
新NISAでの変更点
新NISAとは、NISAの新制度です。
新制度になり、いくつかの点が大幅に変更されました。
以下に、新NISAの概要を示します。
新NISAの種類 | 非課税投資枠 | 非課税期間 | 投資可能商品 | 買い付け方法 | 対象年齢 |
成長投資枠 | 年間240万円 | 無期限 | 上場株式、投資信託など | 積立もスポット投資も可能 | 18歳以上 |
つみたて投資枠 | 年間120万円 | 無期限 | 条件を満たした投資信託など | 積立のみ可能 | 18歳以上 |
つみたてNISAが「つみたて投資枠」に、一般NISAが「成長投資枠」という名前に変更されました。
1年間で投資できる金額も大幅に変更されています。
1年間に投資できる非課税枠
- 一般NISAでは年間120万円→成長投資枠では年間240万円
- つみたてNISAでは年間40万円→つみたて投資枠では年間120万円
また、非課税期間も無制限になり、2つの枠の併用も可能になりました。
そのため、1年間で投資できる金額が増大し、最大で360万円分の投資が可能です。
新NISAのメリット
新制度になってさまざまな点が改善されました。
そのため、旧制度に比べて選択肢も広がっています。
ここでは、以下の点に着目して、新NISAのメリットについて解説します。
- 年間の非課税枠が増加
- 投資期間は一生涯
- 売却後も再び非課税枠を活用できる
- 幅広い投資先に対応
それぞれ1つずつ解説していきます。
年間の非課税枠が増加
旧制度に比べると、新NISAでは年間の非課税枠が大幅に増加しました。
旧制度では、「一般NISA」は年間120万円、「つみたてNISA」は年間40万円の非課税投資枠が設定されていました。
しかし新NISAでは、「成長投資枠」が年間240万円、「つみたて投資枠」が年間120万円まで拡充されました。
そのため、年間の投資額も増やし、より積極的に資産運用を行える点はメリットでしょう。
投資期間は一生涯
旧NISAでは、一般NISAでは5年、つみたてNISAでは20年と、それぞれの投資期間がありました。
そのため、以下の点を気にして運用する必要がありました。
- 期限が近づくと非課税期間の終了を見越して売却を検討
- 非課税口座へ移管する
しかし新NISAでは、投資期間が恒久化されたため、運用期間を気にせずに投資が可能です。
その結果、自分のペースで投資しやすくなり、長期的な資産形成ができるでしょう。
売却後も再び非課税枠を活用できる
NISAでは、一度投資した商品を売却してもその分の非課税枠は復活しませんでした。
例えば、一般NISAで50万円分の株を売却しても、年間120万円の投資枠のうち、残りの投資可能額は変わりませんでした。
しかし新NISAでは、売却した分の非課税枠が翌年に復活するため、その枠内で再度投資が可能です。
具体例として
- 年間の成長投資枠240万円を使い切る
- その翌年に100万円分を売却すれば、次の年には100万円分の投資枠が復活する
このように、必要に応じて売却しながら柔軟に運用できるため、資金が必要な場合はいつでも引き出せます。
幅広い投資先に対応
旧制度では一般NISAとつみたてNISAのどちらか一方を選択する必要がありました。
そのため、一度つみたてNISAを選択すると、その年の途中で一般NISAへの変更はできませんでした。
しかし新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の両方を併用できるため、幅広い投資が可能です。
例えば、
- つみたて投資枠で投資信託をコツコツと積み立てる
- 成長投資枠で個別株にする
このように、自分の投資スタイルに合わせて、柔軟に運用できる点がメリットです。
新NISAのデメリット
新NISAは旧制度と比べて大きな改善が柔軟な運用が可能です。
しかし、その一方で不便に感じる点もあるでしょう。
ここでは、新NISAのデメリットについて見ていきましょう。
- 旧NISAの商品を新NISAに移行できない
- 投資選択がより複雑になった
- 未成年は利用できない
- 短期運用には向かない
以下にそれぞれ1つずつ説明します。
旧NISAの商品を新NISAに移行できない
つみたてNISAや一般NISAで形成していた資産は、非課税期間が終了するまでそのままNISAの口座で保有できます。
しかし、旧NISAで購入した商品を新NISAの口座へ移管することはできません。
その結果
- 新NISAの非課税枠を利用したい場合は、新たに投資し直す必要がある
- 旧NISAで保有していた資産は、非課税期間が終了すると自動的に課税口座へ移管される
そのため、長期保有を考えている方は、運用計画を考える必要があります。
もし保有していた商品を課税口座に移したくない場合は、非課税期間が終了するまでに売却することをおすすめします。
このように、旧NISAの商品をスムーズに新NISAに移管できない点がデメリットと言えるでしょう。
投資選択がより複雑になった
新NISAでは両方の枠が使用できるため、選択肢が増えて自由度が上がったと考える方は少なくないでしょう。
しかし、それと同時に以下の判断が難しくなったと考えられます。
- どの商品をどちらの枠で購入すべきか
- どのタイミングで売却すれば良いか
このような点は、投資の知識が豊富でない初心者にとって判断が難しく悩みの種になるでしょう。
投資の選択肢は増えたものの、適切な選択をするためにはある程度の知識が求めらるのはデメリットと言えるでしょう。
未成年者は利用できない
旧制度ではジュニアNISAが廃止され、新NISAへ引き継がれないため、未成年者の利用はできません。
ただし、2023年までにジュニアNISAで保有していた資産は、18歳になるまで非課税で保有できます。
また、子供名義で資産を運用したい場合は、親の非課税口座を活用する必要があります。
このように、未成年者が自ら口座を開設できない点は、デメリットの一つと言えるでしょう。
短期運用には向かない
新NISAでは、中長期の投資を前提とした商品が多いため、短期運用には向きません。
その理由の1つとして、価格変動の影響を受けやすいことが挙げられます。
例えば、
- 株式や投資信託は日々価格が変動する
- 短期間で売買を繰り返すと、想定以上の損益が発生するリスクがある
このような点を踏まえると、短期的な売買よりも、長期運用に適していると言えるでしょう。
一方で、長期運用であれば、一時的な値下がりが発生しても回復する可能性があります。
このように、新NISAは価格変動の影響を受けやすいため、短期運用には適していません。
初心者におすすめの投資方法
新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の両方が併用でき、投資対象の選択肢も広がりました。
しかし、初心者にとっては、どの枠をどのように活用すればよいのかの判断が難しいでしょう。
そこで、以下の2点に絞って、初心者が始めやすい投資方法を紹介します。
- つみたて投資枠のみを使用
- インデックスファンドで投資を始める
それぞれ1つずつ説明します。
つみたて投資枠で長期投資
新NISAには2つの投資枠がありますが、初心者にはつみたて投資枠のみを使用し、長期で投資することをおすすめします。
「せっかく2つの枠を併用できるのにもったいない」と感じる方も少なくないでしょう。
確かに、成長投資枠では幅広い投資商品があり、選択肢が多いのが特徴です。
しかし投資経験の少ない初心者にとって、数ある商品のなかから、どの金融商品が良いかどうかの判断は難しいでしょう。
ポイント
金融庁が認定した投資信託に絞ることで、ハイリターンは望めなくてもリスクを大幅に抑えられる
月で10万円の投資が可能で、これを1か月の投資額と考えれば十分な金額
初心者のうちは、この方法で資産運用を始めるのが安心です。
成長投資枠を活用する場合は、もう少し投資経験を積み、資金に余裕が出てきてからでも遅くないでしょう。
インデックスファンドの投資信託がおすすめ
投資信託には、インデックスファンドとアクティブファンドの2種類に分かれます。
2つの特徴は以下のようになっています。
- インデックスファンド:運用手数料が低いため、長期的にコストを抑えながら投資できる
- アクティブファンド:ハイリスク・ハイリターンの傾向が強く、インデックスファンドに比べると保有コストが高い
両者を比較すると、アクティブファンドはインデックスファンドに比べてコストがかかるのが特徴です。
そのため、初心者にはリスクの低いインデックスファンドがおすすめです。
新NISAの始め方
新NISAを始めるには、NISA口座を開設する必要があります。
NISA口座は銀行や証券会社で、1人につき1口座のみの開設が可能です。
ここでは、新NISAの始め方の流れやおすすめの証券会社について説明します。
NISA口座開設の流れ
まずは、NISAを始めるには口座の開設が必要です。
NISA口座開設の流れは以下のとおりです。
- 金融機関を決め、ネットや郵送で口座開設(総合口座とNISA口座)の申込手続きを行う
- 必要書類(マイナンバー記載書や本人確認書類)をアップロードまたは郵送する
- NISA口座の仮開設が完了
- 税務署による審査を受ける
- 口座開設完了
金融機関にもよりますが、郵送手続きの場合、書類到着から口座開設まで1週間程度かかります。
一方、ネット申込なら最短2日で口座開設が完了するため、スムーズに手続きができます。
また、口座を開設する際は以下の点に注意してください。
口座開設の注意点
- NISA口座は1人につき1つしか開設できない
- 一度開設すると、その年の間は金融機関を変更できない
- 変更を希望する場合、翌年以降に金融機関の変更手続きを行う必要がある(年単位で変更可能)
また、金融機関によっては取り扱っている商品が異なるため、自分に合った金融機関を選ぶことをおすすめします。
新NISAで投資するならネット証券がおすすめ
NISA口座は、銀行や証券会社で開設できます。
しかし銀行や証券会社では取り扱っている銘柄が少なく、また最低積立金額も1000円からとなっています。
そのため、選択肢の多さや利便性を重視するなら、ネット証券での口座開設がおすすめです。
その理由は以下の通りです。
ここがメリット
- 購入できる銘柄の数が豊富
- クレジットカードでの積立が可能(ポイントが貯まる)
- 最低積立金額が100円から可能
- 積立頻度を「毎日」から設定できる
- 取引手数料が安い
このように、手数料が安く、取扱商品が豊富で利便性も高いため、ネット証券の方が使いやすくおすすめです。
初心者におすすめの証券口座
「NISA口座を開設したいけれど、どの金融機関を選べばいいのだろう?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
実際、NISA口座を開設できる金融機関は数多くあり、どこを選ぶべきか迷ってしまうのも無理はありません。
そこで、初心者には楽天証券とSBI証券がおすすめです。
この2社は使いやすさ・取扱商品の豊富さ・お得なポイント制度など、初心者にとって魅力的な特徴を備えているのです。
それぞれの特徴
証券会社 | 楽天証券 | SBI証券 |
---|---|---|
ポイント還元 | 楽天カード決済なら最大2%、楽天キャッシュ決済なら0.5%還元 | 三井住友カード積立で最大3% |
ポイント投資 | 1ポイント=1円で投資できる | VポイントとPontaポイントは、それぞれ1ポイント=1円で投資できる |
取扱商品 | 国内外の株式、投資信託、EFT、REIT | 国内外の株式、投資信託、EFT、REIT |
最低積立金額 | 100円から積立可能 | 100円から積立可能 |
NISAの取引手数料 | 無料 | 無料 |
このように、どちらもメリットが豊富で、自分の重視するポイントに応じて選べます。
楽天カードを普段から利用している方は楽天証券、三井住友カードを活用したい方はSBI証券が適しているでしょう。
自分に合った証券会社を選び、新NISAを活用して賢く資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、投資初心者に向けて新NISAの概要やおすすめの証券会社について解説してきました。
この記事のポイント
- 新NISAは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用が可能
- 初心者には、低コストで分散投資ができる「インデックスファンド」がおすすめ
- NISA口座を開設するなら、楽天証券かSBI証券の2択
新NISAは非課税で資産運用ができる魅力的な制度です。
しかし制度の仕組みや選択肢が多いため、しっかりと理解したうえで活用することが大切です。
また、どの証券会社を選ぶかによっても、ポイント還元や取引のしやすさも変わってくるため、自分に合った金融機関を選びましょう!
これから新NISAを始めたいと考えている方は、ぜひ検討してみてください。